2024年元日の能登半島地震から、すでに2年が経過した
最大震度7の激震が石川県北部を襲ったあの日から、業界関係者は休む間もなく復旧に当たってきた。しかし、メディアの報道が減った今こそ、本当の復旧状況を知る必要がある。数字とニュアンスのギャップはどこにあるのか。私たちは、現場の声に耳を傾けた。
数字は語る —— しかし語らぬこともある
公式発表の数値をみれば、インフラ復旧は「ほぼ完了」のように思える。上水道の復旧率が98%を超えているのは事実だ。しかし、建設関係者から聞こえてくるのは別の話である。
「数値だけでは見えない部分がたくさんある。給水再開と、生活用水の完全な安定供給は別の話。農業用水の復旧、地下水への影響診断などは長期戦。報告書には『復旧完了』と書かれているが、現場はまだ走り続けている」
これは、INFRA HEROESが取材した石川県内の水道事業体の声である。実際のところ、被災地の水質検査体制は依然として綱渡りの状態にあり、浄水場の老朽化対策と復旧事業が同時進行している地域も少なくない。
道路は「通れる」から「安全」へ
道路に関しても、同様の現象が起きている。通行止めが解除され、「復旧」とカウントされる。しかし、液状化対策、橋梁の耐震補強、地盤沈下への対応といった構造的な問題は、これからが本番である。
能登地域の建設企業は現在、以下のような課題に直面している:1)熟練労働者の不足による工期延長、2)資材費の上昇による予算圧迫、3)二次災害リスクの評価と長期的なリスク管理体制の構築。特に3点目は「見える復旧」の先にある課題として、今後数年の重要な焦点となる。
インフラ復旧の「本当の進捗」とは
ニュースサイクルが去った今、問われるべきは「何が復旧したのか」ではなく「何がまだ復旧していないのか」である。
電力網の復旧率が99%を超えているのは素晴らしい成果だが、そのバックボーンとなる変電所の基礎補強工事は、2027年にかけて続く。道路が開いたことは感謝すべきだが、その下の地盤改良工事は数年単位の営みである。上水道が戻ったことは生活の基盤だが、農業用水のインフラ整備は別の層の課題として今も動いている。
被災地のインフラ復旧は、公式発表の数字が「完了」を示していても、実質的には「転換期」にある。目に見える復旧と、目に見えない強化が、同時並行で進んでいるのだ。そこに目を向けることが、本当の復旧状況を理解する第一歩となる。
現場の担当者たちは、その重さを知っている。何度も「まだです」と答えてくれた彼らの声こそが、最も正直な進捗レポートなのである。