現場飯

現場飯グランプリ Vol.1 —— 電気工事の現場で出会った最強の弁当

2026.03.20 5 min read 取材・写真:INFRA HEROES編集部
現場飯

インフラの現場を支えているのは、技術だけじゃない。「飯」だ。

真夏の炎天下、真冬の吹きさらし。過酷な環境で体を動かす職人たちにとって、昼飯は単なる栄養補給ではない。それは午後の集中力を左右し、安全を守り、チームの士気を高める——つまり、現場のパフォーマンスそのものである。

INFRA HEROESが始める新連載「現場飯グランプリ」。記念すべき第1回は、東北電設工業の電気工事現場で出会った3つの「最強飯」をお届けする。

エントリーNo.1:伝説の「鬼カツ弁当」

カツ弁当
鬼カツ弁当(手作り)
提供者:ベテラン職人・佐々木さん(勤続32年)の奥様
ボリューム
★★★★★
★★★★★
現場適性
★★★★☆
見た目
★★★☆☆

佐々木さんの奥様が毎朝5時に起きて作るという伝説の弁当。ロースカツが2枚、しかもご飯の上と別段の2層構造。味噌汁代わりの豚汁が小さな魔法瓶に入っている。

「32年間、一度も弁当がなかった日はない。雨の日も、台風の日も。」佐々木さんはそう言って笑った。「カツは俺の験担ぎ。高所作業の前は必ずカツ。落ちないように、勝つ。」

現場の若手たちはこの弁当を「鬼カツ」と呼ぶ。量が鬼のように多いから。でもそこには、32年間毎朝弁当を作り続けた妻の愛情が詰まっている。

エントリーNo.2:コンビニ改造飯「炎のペペロンチーノおにぎり」

おにぎり
炎のペペロンチーノおにぎり(コンビニ改造)
発明者:若手職人・木村さん(入社3年目・24歳)
ボリューム
★★★☆☆
★★★★☆
現場適性
★★★★★
コスパ
★★★★★

コンビニのツナマヨおにぎり2個をほぐし、持参したオリーブオイルとニンニクチップ、鷹の爪をかけて混ぜる。それだけ。しかし、これが異常にうまい。

「先輩の弁当を見てると手作りすごいなって思うんですけど、僕は料理できないんで。でも現場で冷たいおにぎりそのまま食べるのは嫌だったんですよ。」木村さんは小さなタッパーからニンニクチップを取り出しながら言う。

「冬場はこれに一味唐辛子を多めに入れる。体が温まるんですよ。500円以下で満足できる最強飯だと思ってます。」現場の先輩たちも最近は真似し始めたらしい。

エントリーNo.3:社長直伝「味噌おでん鍋」

おでん
味噌おでん鍋(現場炊き出し)
指揮:代表取締役・山田誠一社長(勤続50年)
ボリューム
★★★★★
★★★★★
現場適性
★★★☆☆
チーム効果
★★★★★

冬場の大型プロジェクトになると、山田社長は自ら大鍋を持って現場に現れる。東北の赤味噌ベースのおでんは、大根、こんにゃく、厚揚げ、牛すじ、卵。具材は社長が前日に仕込む。

「これはね、うちの創業時代からの伝統なんですよ。現場で飯を一緒に食うと、チームになるんです。会議室でミーティングやるより、鍋囲んで飯食った方がよっぽどいい。」

社長のおでんが出る日は、現場の雰囲気が変わる。普段は無口な職人たちが笑い、若手が先輩に質問し、社長が昔話を始める。飯が人をつなぐ。それは現場も同じだ。

「現場飯ってのは、ただの飯じゃないんですよ。午前中の疲れを吹き飛ばして、午後の集中力を保つ。安全作業の基本は、まず腹を満たすこと。空腹の職人ほど危険なものはない。」—— 山田誠一社長

現場飯が教えてくれること

取材を通じて気づいたことがある。現場飯には、その人の仕事への姿勢が出る。32年間弁当を作り続ける妻への感謝を語るベテラン。限られた予算で最大の満足を追求する若手。チームの結束を飯で作る社長。

インフラの現場は、外からは見えない。でもそこには、確かに人間のドラマがある。次回の「現場飯グランプリ」は、水道工事の現場へ。お楽しみに。

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